こんにちは、2年生のMariです。
Term C が始まり、いよいよこのアメリカ生活も残り僅かだなと実感しております。
受験生の皆さんはインタビューも入り始めいよいよ受験生活も大詰めというところでしょうか。
日本は記録的な大雪も降っていて厳しい天候のようですが、お体に気を付けてお過ごしください!
さて、本日は私がTerm A-Bにとった「Game theory」という授業をご紹介したいと思います。
この授業はコア授業のData, Models and Decisions を教えているLele教授によって開講されている選択授業です。
一般の授業は1Termに週2コマを取り、2単位が与えられますが、Gama theoryは変則的で2Termに渡り週2コマを取ることで、合計4単位が与えられます。
内容としては、複数プレイヤーがいる市場で意思決定がどのようにされるべきなのかを学びます。
例えば、さぼりがちな同僚と一緒に作業した場合自分はどのように動けば一番得をするのか。相手が動く前に自分はどの行動にコミットすればより良い結果が得られるのか。一度ではなく複数回取引する相手の場合次の取引を見越してどのように行動を起こすべきなのか。
現実の社会で遭遇する確率が高い場面設定で、数字という裏付けを以てどのように動くのが最適解なのか、ということを導く方法を教わりました。
この授業の中で面白いと感じたことは、なんとなく世間の中で当然と認識されていることも実はゲーム理論で説明することができる、というある種のアハ体験をすることができたことです。
色々と面白い事例はあったのですが、この記事では1つだけ紹介したいと思います。ちょっと長くなりますが興味があればお付き合いください。
(もし面白いと思われたら是非Smithに入ってゲーム理論を履修されてください)
〇タクシーの初乗り料金〇
タクシーの初乗り料金がなぜ存在しているのか考えたことはありますか?
ゲーム理論で説明すると以下のようになります。
(前提条件)
1人のタクシードライバーは1日10時間(600分)働きます。
真面目に働くドライバーは1回の乗車15分、嘘つきドライバーは距離を稼いでお金が欲しいので30分かけます。
1人のお客さんをおろしたら次のお客は10分後に見つかります。最初のお客を見つけるのにも10分かかります。
真面目なドライバーは1日24人(600/(10+15))、嘘つきドライバーは1日15人(600/(10+30))乗せることになります。
1分につき1ドル稼げると仮定すると、真面目な人は1回の乗車につき15ドル、嘘つきは30ドル稼ぎます。
よってそれぞれの1日の収入は360ドル(15*24)と450ドル(30*15)。つまり嘘をついたほうが多く稼げることになります。
でももし、初乗り6.5ドルで1分ごとに0.5ドル加算のシステムならどうなるでしょう?
真面目なドライバーは1人乗せると6.5ドル+0.5ドル*15分=14ドル、嘘つきは6.5ドル+0.5ドル*30分=21.5ドル稼ぎます。
それぞれの1日の収入に直しますと、336ドル(14*24)と322.5ドル(21.5*15)となり、今度は真面目に働いた時の収入が嘘をついたときよりも大きくなります。
つまり、初乗り料金はドライバーが真面目に働くためのインセンティブとして機能しているのです。
初乗り料金って高いし嫌なシステム・・・と正直思っていましたが、この料金設定のおかげでドライバーもお金を稼ぐために遠回りせず真面目に働いていたなんで目から鱗!と思うと同時に、このようなことを理論的に説明できるゲーム理論はとても面白いと感じました。